とりぼっち

主に舞台の感想が好きなように書かれています。

【感想】LikeA room[003]

ついにこの日が来た。

8月14日(水)、LikeA room[003]のマチネを観劇しました。最前列センター席。見える……顔が、汗が、見えるぞ。

以下、シリーズ通してのネタバレ+Club SLAZYのネタバレを含みますのでご注意下さい。

 

 

Club SLAZYに現在進行形でドハマりしているので、同じ製作スタッフが作るLikeAを観ないはずがありません。前作、前々作はDVDで観ました。一作目の圧倒的投げっ放し感は流石だなと思いましたが此処で私はキャプテンRに出会えたので一作目好きです。苦しむ姿が見られるのが好きってやつなんですがこれは職場の後輩にも賛同を得られている。一作目はざっくり言うとRをBBが励ます話だと思っているのですが観れば観るほど好きになるスルメ作品だとも思っています。二作目は圧倒的Club SLAZY匂わせをぶち込んできて私の息の根を止めようとしてきました。もう絶対繋がってるよねと私の精度に欠ける考察脳が今日もぐるぐる動き回っています。

それらを踏まえて今作を生で観劇することが出来ると分かった瞬間の私のテンションの爆上げ具合は凄まじかったのですが、もちろん此方のどツボを突いてくる制作者さんのシリーズでストーリーも好みでっていうのもあるんですが何より出演者に歌うましかいない。一作目を観たときに目が飛び出ました。まず歌い方が違う。何だその声は、何だその喉は。特に中谷さんの歌い方が独特で好きです。その歌が生で聞けるって最高です。

楽曲が良いのは相変わらず。

 

海沿いの街“ハイタイド”に建つ一軒の高級ホテル【PERMANENT】
これはHOTEL PERMANENTの“ひみつ”をめぐる物語(ミステリー)
新しい謎の扉が開く第三弾

男たちは “ひみつ” を歌う

PERMANENTというよりはハイタイドそのものに“ひみつ”があり、男たちそれぞれに“ひみつ”があり、謎が明かされたと思ったら新たな謎をべっとり上塗りされた話でした。

情報量が多すぎて一度観ただけでは覚えている情報が正しいかどうか自信がないので、30日からの配信で観返そうと思います。

 

・明かされたハイタイドの謎

割とさらりと明かされたのはハイタイドが独立国家であることでした。太陽の光を輸出し、酸素と水を輸入しています。ハイタイドの海の底にロータイドやTORIの世界があり、今作出てこないバトラーは任務でTORIに行っていました。TORIはスレイジーでいう「統制された理想郷」の略称ではなく、部署の名前を略した言葉として使われていました。

ハイタイドは酸素が薄いので外の世界の人はオキシー(酸素供給装置)を使わないといけません。ハイタイドで育った人は体が適応しているので平気なようです。そのオキシーは元々輸入したものなので、パンを買うことでおまけとして付いてくるようになっています。マーマのパンは上手いこと利用されていたわけなのですが、ドクターにパンって温かみがあるから買ってもらえるみたいなことを言われてパイセンは満更でもなさそうでした。そういう仕組みでハイタイドに観光客を呼んでいるようです。だからといってハイタイドの秘密や弱味を知られるわけにはいかないのでパンにアッパー系の物質を混ぜてほしいとプチはマーマに頼みました。国家の運営は大変なようです。

アッシャーがハイタイドに行く時絵を買ってオキシーを入手するのですが、その絵というのが前作でプチが描いたお姫様の絵でした。何故その絵がロータイドに卸されていたのか、意味があるのでしょうか。

 

・父と子の話

今作を観てLikeAは親子の、父と子の話でもあるのかなと思いました。

インスペクターはプレミアムフロアに行きペルマネントの謎を探ろうとしますがFCに阻止されて点検係以外の新たな任務を与えられます。渡されたのはムーとは別の赤ん坊で、まさかの父親になりました。ついでに不在のバトラーの代わりにキーパーが面倒を見ていて目を離した隙にFCに回収されていたムーのことも任されます。キービジュのインスペクターの影が乳母車だった理由はこれっぽい。FCとしては両手に“荷物”を持たせてインスペクターの動きを封じるつもりのようですが、一作目からムーをよく抱いていたインスペクターには効果覿面でしょう。ムーにはバトラーがいますが、ちびスペクターにはインスペクターしかいないのでずっと親子です。

ちびスペクターはインスペクターの咄嗟の名付けなんですがこの時点ではちびスペクターは女の子だと思われておりインスペクターは完全にお父さんでした。そこから何故かカオスな空間を観させられることになるんですが「唖然」っていうのはこういうことなんだなというカオスでした。

愛らしい女性に成長したちびスペクター(橋本さん)はある男性(内海さん)と恋に落ちるのですがこの男性が成長したムーだったらめっちゃイケメンに成長します。内海さんイケメン。マーマレードボーイの娘も立派なヤンキーギャル(髙﨑さん)に成長し、家族が欲しいBBと結婚へ。そして私たちは二組の結婚式を素敵な歌を聴きながら見せられることになるんですが全然歌が耳に入ってこない。舞台上には他にも神父(前田さん)、マーマの奥さん(健心くん)、パーパことマーマ先輩(バカボンパパ)がいて途中でマダムっぽい人(今井さん)も入ってくるので目が足りない。キーパーだけがいつものキーパーでしたが歌は入ってこない。何故か最後神父とマーマママがくっ付く。

話が逸れましたが、結局ちびスペクターは男の子だと判明し、その後のインスペクターはちびスペクターを片時も離しません。ギャグが入ってはいましたがインスペクターも父性を感じているようなので今後が楽しみです。早く名前を付けてあげてほしいですがその名前を聞くのが怖い気持ちもあります。

父と子と言えばFCとペンギンがそうでした。前作でプチが海に落ちた時にFCは外の人間との間に生まれた純正ではない息子と交換という形でプチを助けていました。ハイタイドの海の底にあるロータイドに置いていかれた息子は飛ぶことのできない鳥である“ペンギン”と呼ばれながらキャブワンの働く空港のような場所でパンを売っています。前作で純正でない者の存在をFCさんが仄めかしていましたが、まさかご本人がその関係者だったとは。しかも父親。その時の彼は非純正を忌み嫌っているようでしたが、一気に素直になれないダメなパパに見えてきました。息子のことになると普段の飄々とした底知れなさは何処へ行ったのか、感情をぶちまける人間になります。

ペンギンのことに責任を感じていたプチはFCを連れてロータイドに向かいます。この時のFCさんはペンギンは「もう母親のところに行っているだろう」と言いますが、その可能性があると考えていたのだとしたらやっぱりFCさんは素直になれないパパという結論に行き着くのです。純正のプチを取り戻すため、そして自分とでは幸せにはなれないだろう息子を母親の許へ送るために二人を交換したのではないかと思えてならない。仕事と家族、どっちが大事なのかという選択。家族である息子はFCさんには大切なものなのではないでしょうか。そうでなければプチに連れられてロータイドには行かないでしょう。

結局、FCは素直になれず、ペンギンと元々ロータイドの人間であるアッシャーを交換するのではなく、アッシャー(とRもだったか)をハイタイドに置く代わりにムーとちびスペクターを差し出すと言い出します。ペンギンはハイタイドへの穴がある空港でFCを待っていたのは確実です。選ばれなかったペンギンの慟哭が辛い。ペンギンはFCと決別します。サヨナラは流れませんが、いつかFCさんには泣きながら歌ってほしい。いやサヨナラはしてほしくないんですが。それでもペンギンは最後にはキャブワンがアッシャーを介して父親に自分のパンを渡すことを止めはしませんでした。古賀くんが成長する前にFCさんとの話を進めてほしい。

父親であるマーマの台詞で気になるのは「子どもは11人」と言ったこと。最初は増えたのかと思っていましたが前作では10人“以上”と言っていたそうなので減った可能性もあるようです。マーマは今作で街の秘密を抱えることになりましたが、それ以外にハイタイドの子どもについての秘密を抱えているのでしょうか。

そしてBB。彼は最後の最後で捩じ込んで来ました。私の心の安寧は奪われた。キーパーが昔見た白い幽霊というのは幼いBBを抱いて外を徘徊していたBBの父親というのは一作目から話題に上がっていましたが、今作終盤で今井さん演じるマダム(一作目のマダムと同一人物かは不明。キャブワンとアッシャーの会話からそう思える発言がある)がBBに対してハイタイドの人間ではないという発言をします。それに対してBBは自身を抱いていた「親父」とは誰なのかと疑問を抱きます。それは自分は一体何者なのか、ということに繋がるのでしょう。

それで終わります。後は他にも色々ぶち込んで終わります。次作でのBBの精神状態に不安が一杯です。バトラーに話を聞いてあげてほしい。父親が鍵を握っているのだろうか。

最後に今作には登場しないバトラー。ムーとの疑似親子筆頭。今作でムーが純正でない子どもっていうのが確定していたかうろ覚えなんですが、ペンギンやちびスペクターの件があるのでそういう子どもが産まれるのはかなり珍しいってわけでもないのかも知れません。バトラーが何故ムーを育てているのかも語られる時が来ると良いと思っています。バトラーも何かを暴こうとして、その罰としてムーを与えられたのか。Rのムーへの行動も謎めいているので解明されるといいなあ。

 

・未来が決まっていた話

謎上塗りの時間です。終盤でBBがハイタイドの人間ではないと告げられ、舞台の雰囲気が一気に変わります。他の皆はいつも通り働き出しますが不意に誰かが誰かに耳元で囁いて、皆で呆然と立ち尽くすBBに視線を向けて見詰めます。此処からの照明の使い方がエグい。皆がBBの出生の秘密を知っているのか。それにしてはBBが「親父」のことを尋ねた時のインスペクターは普段通りに見えましたが普段通り過ぎて少し可笑しくも感じました。

その後地獄絵図みたいな光景を見せられることになります。ハイタイドにいる人間が苦しみ出す、ように見えてたんですが地震が起こっているようにも嵐に襲われているようにも見える。とにかく只事ではない様子で舞台上を蠢き出すハイタイドの面々。ロータイドの人間であるペンギン、キャブワン、アッシャーは普通の様子だったので何かがハイタイド、ペルマネントで起こることは間違いありません。その間もBBは客席に背を向けて不気味に佇んでいるだけです。自身が何者なのか分からなくなったことがそれほどの衝撃なのか、それともBBもハイタイドには居ないのか。

「これは○○に至るまでの話」とかそういうのを先に登場人物が言う手法っていうのをよく見かけますが、LikeAもそれでした。キーパー本人が言います。「これは僕がハイタイドを追い出されるまでの話」。その後も他の人が○○な話と言っていたんですが最初のキーパーのインパクトが強すぎてうろ覚えです。小さな檻、壊す、塗り替えるみたいな単語が聞こえた記憶はあるんですが、とにかくこれからペルマネント、あるいはハイタイドそのものに待ち受けているものは不穏なもののようです。死ぬのか誰か。

キーパーの言葉を聞いて、LikeAは三作やって漸く序章が終わったところなのかもしれないと思いました。あと何作続けば謎が解明されるのか謎です。

 

色んなことが起こって胸が一杯。でも一回観ただけじゃ理解できません。もっと観たかった。

以下は各登場人物と役者さんの感想です。

 

・BB

私の苦しむキャラが好きセンサーが目を付けました。終盤のBBの絶望感は辻さんの演技と演出が極まっていて怖かったです。最後、過去二作ではバトラーがペルマネントの看板を持ち背後の壁に文字の影を映して物語の閉幕としますが今回はその役割をBBが担っています。赤い照明の中無表情のBBがそれをやります。怖い、ライカってホラー作品だっけと思いました。最初の頃はごみのカート楽しそうに押してたのに。ごみのカートに体重掛けながら移動している姿が無邪気で好きです。

前作ではあまり本筋に絡んでいなかったのでどちらかと言えば作品の謎に対する中心人物にはならないのかと思っていたらそんなことはなかった。考えが甘かったです。

周囲で何かが起こっているけれど何も知らない自分にこれでいいのかと思い始めたところでマーマに何も知らないままで良いと諭されたのが印象に残っています。その後あんなことになったわけですが。彼が真実を知っていくのか、それとも知ることをやめてRに言ったように今を受け入れるのか、動向が楽しみでならないキャラになりました。

前から思っていましたがやはり辻さんは肌が綺麗でした。鼻の筋がはっきりしていて作り物みたいな美しい顔でした。

 

・インスペクター

プレミアムフロアに興味を持っていたのはアッシャーの影響を受けただけってことでいいのでしょうか。彼こそ出生に秘密を持っているのではと思っていましたが意外と一般人寄りなのかもしれない。掴めないと思っていたけどちびスペクターの存在で人間味が増した感じがします。

ちびスペクターが男の子だと分かって自分が用意したおくるみが女の子用だったのでごめんと謝る時のインスペクターが完全にパパだったのでSHUNさん演技凄いなってなりました。ただのラッパーではない。真正面から見た酸欠スペクターがイケメンでSHUNさんかっこいいってなりました。

 

・キーパー

最初のとち狂ったテンションは色んな意味でどうしたと言いたい。終盤の彼を知った今となってはあのとち狂った真ん丸な目をした中谷キーパーが恋しいとすら感じる。鉄ミュで言うとジュニアみたいなとち狂ったテンションをしていましたがバトラーがムーを預けて頼ってくれたことがそれほど嬉しかったのでしょうか。こんなに顔芸しているキャラだったっけ。バトラーの真似しながら歌うところとかヤバいです。その後バンドみたいなもので拘束されたままカート押して去っていく時の尻に目が行く。

彼は今作一貫して知るべきでない変わるべきでないとBBやインスペクターたちを真実から遠ざけようとします。つまり彼は知るべきではない真実を知っているということになるのでしょう。一作目のマダムであろう人物が再登場しますが、恐らくその人はアッシャーやキャブワンたちと同じ場所にいた「伝説の男」だと思われるのでそのマダムに真夜中のルームサービスをしたキーパーはハイタイドの真実を教えられたのかもしれない。あとBBの出生の秘密も知っているようです。

ハイタイドを追い出されるようですが追い出され方にも色々あります。取り返しのつかないことをしたのか、誰かが彼のことを想って追い出したのか。色々ありますが結局追い出されることに変わりはないので辛い。

 

・アッシャー

前作ラストがああだったのでHotel Permanentの時にシリアスに出て来たと思ったら後ろの方でマーマ、プチとアルプス一万尺やってておいってなりました。

キャブワンの先輩にあたるキャブスリー。ドアマンの格好よりキャブワンと同じ制服を着ていることの方が多かったです。帽子が大きいのか鍔を斜めにして被っているのがちょっと可愛い。前々からハイタイドに潜入する機会を窺がっていましたが、プチが落ちてきたことでハイタイドに繋がる穴を見付けて喜び勇んですっ飛んでいきます。浮かれていたためプチのことが目に入っておらず、その結果前作で自分の正体がばれる。キャプテンRはキャブファイブであり真面目な先輩だったのでアッシャーを捜してハイタイドに向かい記憶喪失の振りをしていた、というのがどうやら真実のようです。アッシャーが仲間だと浮かれて声を掛けた結果Rの正体がばれてプレミアムフロアに軟禁される。前作終盤ではかなりのシリアスキャラで優秀そうに見えていましたが意外とアッシャー抜けてる先輩な気がしてきました。ドジっ子か。

髙﨑さんと言えばマーマの娘役で登場するんですがその時のスカートから覗く足が長過ぎた。ブロマイドでも足が長い。

 

 ・プチ

前々から思っていましたが健心くんは懐に抜き身のナイフ隠し持ってるタイプですよね。何を仕出かすか分からないと言うか、澄ました顔で何か仕出かしてくると言うか。BBとドクターが真面目な話をしている後ろでマーマパイセンの尻に顔を埋めた時はどうしようって思いました。あと「狼になります」と宣言する場面があるんですが、そことは全く関係ないところで彼は狼になります。唐突にぶっ壊れる健心くん嫌いではない。

プチとしては彼は優しかった。彼は自分の身代わりになったペンギンに責任を感じていて、彼を助けるためにFCに意見します。FCの言いなりなのかと思ったらちゃんと自分の意志があり、その意志がペンギンと延いてはFCのために働いているものなのが良いですね。今後もペンギンのことを想うのでしょうか。

終盤のトラウマソング・Hotel Permanentの時はファイルを思い切り床に叩き付けるのですがその時の音がかなり大きくてホラーな感じを増長していました。

 

マーマレードボーイ

前作のクズっぷりが薄れて面倒見の良い先輩でありパパな成分が増しました。パイセンも父親になって丸くなったということでしょうか。ドクターとの相性は最悪ですが掛け合いは最高です。今後面倒見の良さをドクターに発揮してくれるのではないかと期待しています。

俺は殺しはしない、と即否定する姿が格好良かったです。ただしそれは間接的に、という意味だった若かりし頃のマーマ先輩が頭を過りますが、家庭を持ち自分のために生きることができなくなったいまはその辺りどうなのでしょうか。好奇心に抗えず街の真実を知ることになりますが、終盤それが彼にとって重荷になっているような描写もあったので後々えらいことになってくるのでは。でもマーマを追い詰めそうなFCさんがかなりの人間味を発揮してラスボスっぽさが薄れたので無事にファイナルまで辿り着けるかもしれない。

鎌苅さんはアニメエア・ギアから存じ上げていたのですが、ライカで初めて声優ではなく役者の鎌苅さんを見ました。圧倒的場慣れ感が凄かったです。アドリブが惨い。変顔がヤバい。地獄の結婚式のストップモーションの時に客席に向かってずっと変顔をしてくるんですがほぼ真正面に座っていたので辛い。許さないでも好き。

 

・ドクター

私のイケメンセンサーがブロマイドを買わせました。内海さんはネジを飛ばせる方のイケメンでした、とても素敵です。

ドクターという名称はスレイジーでも出てくるので繋がりを期待していたのですが今のところ直接の関係性は無さそうです。ドクターこと本名コーナーくんはBBたち幼馴染ズの同級生で卒業するまでバトラーに成績で勝つことができませんでした。卒業式、双眼鏡か何かを覗いてバトラーを見ているドクターの背中ががり勉感満載で面白いです。その時代にBBの飼っていたひよこを盗んでいたのですが、それを本人に暴露して突き付けた言葉は何となくBBの真理を突いているのかもしれません。ひよこが居なくなった時誰も何も言わなかったように、街の誰もBBに興味が無い。意図的に関心を向けない。そうされる理由がBB自身にあるのか、あるいは父親にあるのか。

ドクターはクールキャラかと思えばそういうわけではなく、ですます調のインテリっぽい人でした。マーマを振り回しまくり話も遮りまくりますが、二人きりだとそういうわけでもなく強がっているだけだったっていう私の心の端っこの柔いところを引っ掻いてくるツボキャラでした。

コーナーくんの過去を掘り返される時の発狂具合であったり、マリオの出来損ないみたいなジャンプを突然して鎌苅さんにツッコまれたり、狼になったプチと吠え合ったりと、内海さんのネジの飛ばし具合がとても好きです。

 

・FC

ちゃんと人間だった。これに尽きるような掘り下げでした。

スレイジーでQも言っていましたが言葉はブーメランで、FCさんもブーメランしてましたね。キーパーに対して言った一度捨てた子どもを育てる資格はないみたいな台詞とか。

ペンギンの腕を掴んで引っ張ってくる時の険しい表情がすごく好きです。その時の見た目はどう見たって完全に父親と息子。私はFCさんは本心からペンギンを嫌っているわけではないと思っているのでどうしてプチと自分の息子を交換したのかを考えるのが苦しいんですが楽しい。FCさんの上にもXみたいな人がいたらもっと楽しい。

それにしたって駄目なパパでボロボロでした。帽子が落ちるほど頭を振り乱して声を荒げる様は迫真です。言ってることは言い訳というか自己肯定というかでしたが。ペンギンが生まれたのは外の世界の女性と子どもを作ることでどうなるのか興味があったからというような理由だったと本人が語ります。そこだけ聞くと割とクズなんですが、ペンギンに対するFCさんの言葉は殆ど本心を隠していると思うのであまり信じられません。でも生まれた理由は本当で、その後まさか息子に対して情を持つとは思ってなかったとかはよくあるパターンでそれだけで楽しいですね。

もっとFCさんにはボロを出してほしいと思うし、ペンギンと和解してほしいと思うんですが何となく死亡フラグも感じてしまったので生き残ってほしい。

ある場面で籠からパンを落としてしまうんですがその時の口から漏れた笑いはFCさんでなく完全に平牧さんでした。その後誤魔化すように中谷さんの口にパンを押し付けて「食べるな!」とキレる理不尽さ。FCさんが持っているパンっていうのはガチの本物らしく結構欠片が舞台上に落ちるらしいのですが、確かに落ちていました。割と大きめの欠片が。確かに中谷さんがおかきと間違えるのも分かる。

 

・ペンギン

今作はペンギンのシーンから始まります。キャブワンを知ってる知らないの会話は何だか奇妙でした。プチが落ちてペンギンが代わりに置いていかれた時、キャブワンはその場に居合わせていて二人は確実に面識があります。初対面のような会話が不思議です。ペンギンは空港でパンを売っていますが、初めの内はそういうわけでもなく別の所に居たのでしょうか。

ペンギンは本名ではなく、上に行きたくても飛べずにTORIにいる子だから付けられた名前です。名前を付けてくれる誰かしらがいるようですが、ミスティックの姿が浮かぶ。キャブワンの人指し指の第二間接が好きとかマニアックな好みはジーズさんを思い浮かべてしまいます。

パンを売りながら空港で彼は父親を待っていたのだと思います。口調は背伸びしてますがキャブワンとの会話の中で浮かべる笑顔が子どもっぽく可愛らしい。だからこそ自分を選ばなかったFCへの絶叫が聞いていて辛かった。必死に否定していたんでしょうが、FCにとって自分が最下位であると確信してしまうとか子どもには辛すぎます。過去のペンギンはFCと暮らしていて、父親のためにおつかいに行く生活をしていて、FCをパパとして慕っていたことが分かるのであの場面はかなりの落ち込みポイントです。ペンギンにキャブワンという相棒がいて良かったです。

古賀くんは可愛い。写真に写る時目と口が必ず真ん丸なのが可愛い。ジュニアの大森くんは幼くて素朴な可愛らしさがありましたが、古賀くんは可愛らしさの集合体みたいな可愛らしさとペンギンとしての体の動かし方が可愛い。余談ですが大森くんのPatient of Loveめっさ可愛いのでスレイジーの4観てください。

いつか笑い合える日が来れば良い親子。

 

・キャブワン

俺っていいそうなキャラが僕っていうギャップが堪らない。キャブワンもそういう人で、しかも後輩キャラでした。先輩二人を待っている後輩です。ペンギンとは待っている者同士。空港では数字が大きいほど偉いようで、アッシャーことキャブスリーはキャブワンの先輩にあたり、キャブワンは彼の奔放さに振り回されて苦労していたようです。

キャブスリーを捕まえるために持ってきた網を歌終わりに舞台袖に返しにいくのですが衣装の袖のボタンに引っ掛かってしまいそのままの状態で「先輩の所為でこうなりました」とUターンしてきて笑いました。しょうがないなと冷静に取ってあげる髙﨑さんと無事に取ってもらえて「返してきます」と舞台袖に向かう前田さんに笑う。

仕事には忠実だけど冷徹ではなく、ペンギンに対して最初は兄的存在になるのかと思っていたのですが実際は対等な相棒になってくれました。泣き叫ぶペンギンを抱き締めた時はぐっときました。真面目なので自分の意志でハイタイドに戻ることを決めたキャブスリーを送り出します。キャプテンRことキャブファイブも真面目な人のようなので間に挟まれたキャブスリーにはもっとしっかりしろと言いたい。

 

・ベル

石賀さんが唱えたちろさん黒幕説もあながち間違いではないのではと思い始めています。根拠は無い。

今作ではベルが個として喋ってくれて嬉しい。バトラーの代わりにムーの面倒を見ながら泣いているらしいのですが、怖いお姉ちゃんがいて苦労したバトラーが立派に子育てしていることに感動して泣いているらしい。そしてムーに慰めてもらっている。突然のキャラ立ちに黒幕疑惑が浮上しますが心優しいベルのまま行ってほしい。

まさか今回橋本さんの女装が見られるとは夢にも思っていませんでした。成長したちびスペクター役でトップバッターで登場してくれるんですがめっさ可愛い。橋本さんのあの目をこれでもかと細めた笑顔が好きなんですよね。でも足はちゃんと男性でした。

 

・ポーター

 ハイスクール時代、まさかのBBより成績が悪かった。それでもBBより出世してるので世の中頭の良さじゃないんですよ。

ベルとポーターのキャラが立った今作ですがそれが何を意味しているのか楽しみであり恐ろしくもあります。終盤のBBショックの時にキーパーやインスペクターに囁き掛ける側なのがこの二人なので一体どういう立ち位置に納まっていくのか気になります。

イカでの今井さんと言えば女装だと思うんですが今回もばっちりでしたね。しかもその時間が人一倍長いというか、マダムというもう一つの役を演じているというか。今井さんの女性の演じ方が生々しくて好きです。足を大きく広げる場面があるのですが見えそうで見えない。網タイツが破れていたと同行してくれた友人が語っていました。ちょっと見たかった。

 

新宿FACE

辿り着けるか不安だったんですが新宿駅からほぼ真っ直ぐ進めばいいだけだったので無事辿り着けました。劇場はヒューマックスパビリオンの7階にあり、開演1時間前まではエレベーターが止まりません。なのでスタッフさんが来てくれるまで1階で待っているしかないのですが事前に知恵袋とか見てなかったらあわあわしていたと思います。あとゲームセンターのお兄さん詳しく教えてくれてありがとう。

パイプ椅子は尻が死にます。低反発クッションを持参しましたがどれだけ舞台が面白くても尻は痛い。

1列目は滅茶苦茶舞台上との距離が近いんですが首は痛くならない絶妙な高さで良かったです。役者さんがジャンプして着地した揺れとかが響いてくるし、舞台袖でがちゃがちゃしてる音もよく聞こえました。

目の前をアッシャー、インスペクター、プチが通っていって嬉しい。

 

・まとめ

Hotel Permanentを生で聴いた瞬間、鳥肌が立ちました。ぞれだけで満足。

開演前の物販ではランブロが販売されていなかったのでちょっとショックを受けながら、ベルのブロマイドを譲って下さった方感謝しております。終演後には販売していたのでちゃっかり並びました。ツーショットが出ない。

三浦さんの脚本やキャラが好きなんだなとしみじみ思いました。LikeAの続編を心待ちにしています。