とりぼっち

主に舞台の感想が好きなように書かれています。

【感想】ミュージカル『ローマの休日』

12月19日(土)、ミュージカル『ローマの休日』の名古屋公演初日を観劇してきました。観てからもう3か月経とうとしていることに衝撃を覚えましたが、観劇後の2週間は体感的に結構長かったです。3月のサンセット大通り以来の劇場での観劇だったので12月に入った段階で感極まっていました。当日のテンションは可笑しかったです。 

チケットを取ったきっかけは太田さんが出ることと原作である映画のことを知っていたからです。真実の口のシーンが見たかった。元々東京公演だけで発表されていたので、その時は流石に遠征は我慢だなと指を咥えていましたが、名古屋での公演が発表されて悩んだ末にチケットを取りました。スマホにアプリ入れて電車はやめて車で移動してという感じにやりました。まだ私に東京は遠そうだ……。

以下、ネタバレを含んだ感想です。ご注意ください。

 

 

 

マジで名作だった。

知っていた。映画が名作だってことは知っていたが、ミュージカルも名作だった。映画についてはちょうどアマプラで観ることができたので事前に途中まだ観ていましたが、これは絶対全部観ないでミュージカルを観た方が面白い気がすると思い我慢して観劇当日を迎えていました。映画版のアン王女の可愛らしさったらそりゃすげえですしブラッドレイさんのイケメンっぷりったら白黒だろうと充分伝わるし真実の口のシーンはマジでやばいんだぜという気持ちで溢れ返り期待に満ち溢れながらミュージカルを観ました。全部好きでした。演出も演技も歌も何から何まで好きでした。眼福です。感動で久々にうるっときました。隣の後輩はべしょべしょでした。

 

太鳳さん回だったのですが、太鳳さんのアン王女がものすごく可愛い。というか太鳳さんが可愛い。観劇後太鳳さん可愛い可愛いとずって言っていました。王族らしく世間知らずですが礼儀正しくチャーミングで花屋がお花あげちゃうのもよく分かる。自由のない生活にヒステリーを起こして脱走するけれど、最後はしっかりと自分の責任を選ぶところが強い。立場の違いとかを理解して現実をちゃんと見られるのはブラッドレイよりもアンの方でした(ブラッドレイはふたりの未来を口にしたり別離の苦悩がしっかり描かれている)。最後の自分の責任に対して大使にはっきりと言うシーンは本当に格好良かったです。空気が変わった。

アン王女の脱走シーン、御園座の床って回るんですね!? 映画よりもしっかり描かれていて、運が味方するアン王女とその周りの描かれ方がコミカルで脱走の先に何があるのかこちらもすごくわくわくしました。アン王女の仕草がひとつひとつ可愛くって仕方ない。

私が観たのは太鳳さん加藤さん回ですが、お二人の身長差が堪らない。○○差、みたいなものが好きなので、此処に年齢差も加わっていたら悶絶ものです。ブラッドレイ30代くらいだったらいいな。

アン王女とブラッドレイのローマ観光は観ていて本当に楽しかったです。二人の後ろでローマの住人が常に活き活きと動き回っています。アンサンブルの方が多いとこういうことができて良いですよね。全く以て目が足りない。気付いたら見たい人を見失っていましたが、ローマの人々それぞれに個性があってついそちらを目で追ってしまうこともありました。

ちょっと刺激的な日常を満喫するアン王女と、それをエスコートするブラッドレイを観客は最初から見ていて、ふたりそれぞれの事情を理解した上で彼らが楽しそうにしている様子をずっと見ているわけなので、もう情が湧きまくりというか「引っ付けばいいのに」という気持ちで一杯でだからこそこのふたりの身分差に勝手に悩んでいました。事前にゲネプロ映像観ていたので何となくどうなるか察してはいたのですが、それによってさらに悩みが増してました。正直に言うと未だに悩んでいる。

真実の口のシーン、一番見たかったシーンだったので本当に感無量でした。アーニャをアン王女と知りながらもひとりのお嬢さんとしてからかうブラッドレイめっちゃ良い男やん……。

 

そんなブラッドレイさんは金の無い新聞記者で、初っ端「アメリカに帰るぞ!」と 歌う姿は格好良いですが(加藤さんの声がマジで良い)酒浸りでギャンブルしたりで自堕落な大人感が滲み出ています。いや働いているだけマシなのか。そう言えば映画版ではアメリカに帰ってやるぜという宣言はしていなかった気がする。

だとしてもブラッドレイは相当なお人好しだと思います。夜の街で泥酔(しているように見える)初対面の女性(アン王女)を放っておかず、タクシーまで捕まえて家に帰らせようとしてくれるとか滅茶苦茶良い人です。本当アン王女が出会ったのがブラッドレイさんで良かったと思います(劇中出てくる人皆良い人ですが)。

ブラッドレイの自室での二人のララルー面白かったです。嗚呼こうやって笑わせにもきてくれるんだと解って楽しみが増しました。ローマの人々のイタリア語ははっちゃけ過ぎていた気もしますが(でも皆良い人なので面白かったです)。

最初はスクープ記事によるお金目的だったのが徐々にアーニャに魅かれていって手放したくなくなってしまい、ふたりでの逃避行さえ提案するほどのブラッドレイでしたが、アーニャはアン王女であることを選びました。後ろから抱き締められたアン王女の声の漏らし方が苦悩の心情を物語っていて凄かったです。お互いがお互いに魅かれているというのは分かり易いのですが、一緒にいるかどうするかという苦悩に関してはアン王女はあまり描かれていなかったように思います。船上パーティーの時点で黒服に対して最終的に帰るつもりの発言をしていたので、彼女は生まれた時から王女である自身の責任を自覚し続けていたのだと思います。対するブラッドレイの苦悩というか未練というかどうにかならないかとあがく姿は格好良くはないけれど分かりみが強すぎて本当どうにかなってほしかったです。でもアン王女の気持ちも理解できる。

夜の切ないお別れが最後ではなくて、その後アン王女の会見で再会してお互いの気持ちを確かめ伝えあってっていうのがすごく良かったです。もうこれで本当にお別れなんだろうけれど切ないだけではないエンディングというのが堪らなかったです。うまく言葉にできない気持ちにさせられました。切ないけれど明るくもあるんだよなあ……。

何だかんだ色々あるけれど結局最後のブラッドレイ加藤さんの笑顔がずるい。

会見後、アン王女が立ち去った方を振り返り、そして笑みを浮かべるんですが何だその笑い方は。ずるい、ずるいぞ、ハンサムにも程がある!!最後に全部持っていかれました。そうやってブラッドレイが笑えるんなら良かったよ。

 

今回観に行ったのは太田さんが出ていたからというのが一番大きいのですが、アーヴィングというのが明るくコミカルなキャラクターなので太田さんのそういった演技をすごく楽しみにしていました。シリアスな演技も好きですが(イノサンに至っては圧倒的高貴)、太田さんのコミカル演技がすごく好きなのでこうして生で見られて本当に良かったです。マンマ・ミーア! もっくんの歌最高でした。

ブラッドレイとわちゃわちゃしているのも楽しいし、会見でのアン王女への粋な計らいとかすごく良いヤツでした。あれってブラッドレイとアン王女のこっそりツーショット写真を渡したのかなと勝手に思っています。渡していてくれ。最後、ブラッドレイとアン王女だけに照明が当たって見詰め合う後ろで、他の記者たちは背中を向けているのにアーヴィングだけ振り返って笑うのも友情を感じてすごく良かったです。確かブラッドレイとアン王女をそれぞれ見ていた気がする。

もっくんはオリラジの藤森さんとのWキャストだったのですが、ゲネプロ映像で見た藤森さんのアーヴィングもバリバリに仕上がっていて叶うなら観たかったなと思いました。いや叶うなら名古屋公演全部観たかった。

 

ヴィアバーグ伯爵夫人からアン王女へ向けられる愛情はすごくあたたかくて良かったですし、将軍はただただ注射が苦手というのが何だか可愛いし、マリオに歌ウマ岡田さんってすごいし相変わらず素敵な声でしたし、ローマの皆めっちゃ良い人これに尽きるでした。アンサンブル入り乱れるシーンはどれも本当に好きでした。特にスクーターシーンは浪漫が溢れ返っている。

 

マウスガードのあるなしで演出の幅も変わってくるのだなと思い知らされた観劇でもありました。やっぱり生での観劇は良い!これからも劇場に足を運ばせてほしい地方民!役者さんの足音が聞きたい!

どうするかどうなるかちゃんと考えながらも、好きなものを好きなように続けていきたいと思いました。嗚呼本当にもう一回観たいミュージカルでした。